運動を始めたいけど何からしたらいいか、わからない…。
「運動したいけど、続く自信がない」そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?ヨガやダイエットに興味はあっても運動習慣がないと、最初の一歩がなかなか踏み出せないこともあります。
そんな方にぴったりなのが「ドローイン」というエクササイズです。簡単で続けやすく、体幹を引き締めてくれるこの運動は初めての方でも気軽に始められます。
特別な道具や広いスペースは不要で、座ったまま、寝転がったままでもできるドローインは体幹を鍛えて姿勢改善や基礎代謝アップにつながります。
この記事ではドローインの効果と初心者でもできる具体的なやり方をわかりやすく解説しています。無理せず日常生活に取り入れて、あなたの体と心を少しずつ整えていきましょう。
ドローインの基礎知識
『ドローイン』は呼吸を行いながら体の深部にある筋肉を鍛えるエクササイズです。
ぽっこりお腹が気になっている人は普段は意識することが少ない腹筋を鍛えることで下腹部のぽっこり感が解消される効果が期待できますよ。
ドローインは運動の方法や筋肉への力の入れ方を習得すると、場所や時間を選ばずに行うことができるエクササイズです。
特別な器具やトレーニングスペースなども必要なく、普段の生活の中で行うことができます。トレーニング経験が少ない方でも始めやすいエクササイズなので、ぜひ普段の生活に取り入れて習慣にしてください。
ぽっこりお腹になる原因
腹筋の筋力低下と内臓下垂がぽっこりお腹の主な原因で、運動不足や年齢を重ねると基礎代謝が下がります。消費しきれなかった摂取エネルギーは脂肪として身体に蓄積されやすくなります。
お腹周りは運動不足や筋力低下の影響を受けやすい部分。下腹部は普段の生活では筋肉が伸び縮みすることが少ないので、そのままにしていると筋肉はどんどん衰えるので注意しましょう。
動きが出にくい部分は筋肉のしなやかさや柔らかさが失われてしまい、筋肉の代わりに脂肪がつきやすくなってしまうのです。
肋骨と骨盤の間にあるお腹周りには背骨以外の骨がなく、腹筋が衰えたり弱くなると筋肉に支えられていた内臓の位置が下方や前に押し出されて下腹部が前に膨らんだように見えてしまうんです。
運動不足や筋力低下は姿勢にも影響します。胴体と言われる体幹部は、腹部と背部の筋肉がバランスを取り合うことで背骨の弯曲を支えています。腹筋の筋力低下が起こると背骨を前方から支える力が弱くなり、反り腰になってしまうんです。
反り腰や猫背などの姿勢の悪さには腹筋の筋力低下の他にも要因がありますが、反り腰姿勢になるとますますお腹が前に突き出すように見えてしまいぽっこりお腹が目立つようになります。
お腹周りにある筋肉
お腹の前側にある腹筋は層になっていて身体の前面から側面までを取り巻くようについています。表層から腹直筋→外腹斜筋→内腹斜筋→腹横筋と4層の筋肉が腹部を守ってくれているんです。この中でも、一番深層にある『腹横筋』は、お腹の前面から側面までをぐるっと覆っている筋肉で、コルセット筋とも呼ばれています。
この腹横筋は腹部の筋肉群のインナーマッスルの一部です。インナーマッスルは体の深部にある筋肉の総称で、表面から触れることができない体の深部にある筋肉群です。
姿勢の保持や身体の動きをサポートする重要な役割があり、体幹部のインナーマッスルはコアマッスルとも呼ばれています。
ドローインはインナーマッスルを鍛えるのに最適なトレーニングです。
インナーマッスルは普段意識することが少ない筋肉ですが、これらの筋肉が衰えてくるとさまざまな不調が出てきます。普段の筋トレでは鍛えることが難しいので、インナーマッスルを鍛えるためのエクササイズやトレーニングが必要です。
腹部のインナーマッスルは、『横隔膜』『腹横筋』『多裂筋』『骨盤底筋』で構成されています。腹部の上下左右でそれぞれバランスを取りながら作用することで腹圧の調整や内臓を守る働きがあります。
腹横筋の役割は、腹部の内臓の位置を正しい位置にキープする、、体幹部を支える、息を強く吐くときの主力筋などの働きがあります。
腹横筋が働きやすくなると体の軸が安定してお腹周りがスッキリしたり、良い姿勢が楽に保てる効果が期待できるんです。
腹筋運動との違い
ドローインは呼吸で体の内側から腹直筋を緩めたり収縮させるエクササイズです。体の動きは少ないエクササイズですが、しっかり集中して行い筋肉が働くようになると身体が暖かくなるのを感じます。
一方で腹部を鍛えるときに思い浮かぶシットアップやクランチのような体を曲げる腹筋運動は体の表層にある腹直筋の運動です。
ウエストのくびれを作るのに効果があるツイストやサイドクランチなど体をねじる運動は腹斜筋が働きます。
シットアップ・クランチ・ツイストなどの体の動きを伴うトレーニングは見た目の変化が分かりやすいのですが、インナーマッスルである腹横筋がうまく機能していない状態でトレーニングを行うと腰に負担がかかり痛めてしまう可能性もあります。
ぽっこりお腹が気になる人や腰痛がある方はインナーマッスルである腹横筋を強化することから始めましょう。体の深部にある腹直筋が働くことで腹圧が高まると体幹部の軸が安定するので、他のトレーニングも効果的に行うことができます。
>>引き締まったお腹を目指す!効果的なトレーニング方法
ドローインの効果
場所を選ばず体ひとつで行えるドローインですが、女性に嬉しい、さまざまな効果が得られます。主に以下の特徴があります。
- ぽっこりお腹の解消
- 姿勢が良くなる
- 深い呼吸ができるようになる
- ダイエット効果がある
- 腰痛の緩和や予防ができる
- 便秘の解消
ぽっこりお腹の解消
腹横筋が働きやすくなると、内臓が元の位置に戻りやすくなります。前や下方に出てきていた内臓や脂肪を腹直筋が機能することで腹部の前面から側面までを支える壁となってくれるからです。
姿勢が良くなる
腹圧が高めやすくなると、背骨の負担が減って反り腰や猫背などの姿勢の悪さが改善されます。体幹部の筋肉が働きやすくなることで良い姿勢が楽にとれるようになります。
腹横筋が機能して姿勢が良くなるとウエスト周りがスッキリした印象にもなりますよ。体幹部の軸が安定すると、他のトレーニングも効果的に行えるようになり体を動かすことが楽になります。
深い呼吸ができるようになる
ドローインは呼吸に意識を向けて行うエクササイズなので、瞑想やマインドフルネスなどのリラックス効果もあります。
普段の仕事や緊張している場面では呼吸は浅くなりがちです。浅く速い呼吸や時には呼吸が止まると体が酸素不足になってしまい、酸素不足の状態が長く続くと自立神経の乱れにも繋がってしまいます。
ドローインを行うと深くゆっくりとした呼吸を意識しやすくなってリラックス効果やストレス解消にも役立ちます。腹横筋は呼吸にも関係する筋肉。呼吸をしながら腹横筋を鍛えるドローインをすることで普段の呼吸も楽になります。
ダイエット効果がある
動いていなかった筋肉が働きやすくなると、基礎代謝が向上して脂肪燃焼が促進されます。基礎代謝が上がった状態で筋トレや普段の生活を過ごすことで脂肪を燃焼しやすくなる効果が期待できます。
手軽にできるダイエットってやっぱり最高!
ドローインを継続して太りにくい身体にしましょう。
>>ダイエットのおすすめは?成功のポイントや自分に合う痩せ方を徹底解説
腰痛の緩和や予防ができる
腹横筋がしっかり働くことで、腹圧が高まります。お腹周りを支える力になってくれるので、腰の筋肉や椎間板などへの負担が軽減し腰痛の改善や腰痛予防効果が期待できます。
便秘の解消
腹横筋が働くことで、前や下に下がっていた胃腸が元の位置に戻りやすくなります。腸に近いお腹の深層肉が動くことで、腸の蠕動運動も刺激され便通が良くなる効果もあります。
ドローインのやり方
ドローインは、お腹をへこませたり膨らませたりする中で呼吸を行いインナーマッスルを鍛える体幹トレーニングです。
ドローインは仰向けや立位、椅子に座って行うなどいろいろな姿勢でエクササイズができます。
初心者の方がドローインの練習をするときは、全身の力が適度に抜けてターゲットとなる腹横筋の収縮が感じやすい仰向けの姿勢から行うことをおすすめします。
仰向けでエクササイズを行って腹横筋に力を入れる感覚が分かってきたら、立位や椅子に座った状態でもドローインをできるようになりますよ。
ドローインのやり方(手順)
ドローインの基本姿勢は以下のとおり。
仰向けで軽く60~90°くらい両膝を曲げてリラックスした姿勢をとる。
手の位置は体の横に伸ばしておくかお腹の上に置いておいてもよい。
呼吸に合わせた筋肉の動きを確認したい場合はお腹に手を添えておく。
基本姿勢が整ったらドローインに移行します。
- ①お腹を膨らませる
- 鼻から息を吸い、お腹を膨らませる。
- ②腹筋を引き込む
- 口から長く息を吐きながら、お腹を体の内側に引き込むように力を入れる。おへそを背骨に近づけるイメージやお腹の前側や横面を中心に向かってしぼませるイメージをすると分かりやすい。
- ③お腹を薄くしたままキープする
- 数秒~30秒くらいお腹を薄くしたままキープする。
お腹をキープしている間に自然な呼吸(鼻から吸って、口から吐く)を数回繰り返す。 - ④リラックス
- ゆっくりと息を吸いながらお腹の筋肉を緩め、元の状態に戻す。①に戻って繰り返しましょう。
ドローインを行う上でのポイント
ドローインを行う上で以下のポイントに気を付けましょう。
- 無理をしない
- 自然な呼吸を保つ
- 毎日続ける
- 体に力を入れすぎない
- 反り腰にならないように気をつける
無理をしない
初心者の方は短い時間から始めて少しづつお腹を薄く保つ時間を延ばしましょう。最初は数秒で大丈夫です。慣れてきたら最大30秒の保持を目標にしましょう。
自然な呼吸を保つ
ドローイン中も呼吸を止めないことが大切です。お腹を薄くした状態を保ちつつ自然な呼吸や胸式呼吸をしましょう。
毎日続ける
ドローインは簡単にできるエクササイズです。効果を実感するには継続することが大切です。
体に力を入れすぎない
息を吐くときに脚や肩に力が入りすぎないようにしましょう。肩が上がったり、膝がくっつくように体が動くのは力が入りすぎているサインです。
トレーニングの始めの頃は力をどこに入れるか感覚が分かりづらいかもしれません。体が動かないくらいの力でインナーマッスルが働くように意識しながら息を吐いてください。
反り腰にならないように気をつける
お腹を薄くするように力を入れると腰が反ってくる人もいます。仰向けの状態でドローインを行うときは腰が床から浮かないようにしましょう。
ドローインの種類
呼吸に合わせて腹直筋が働いている感覚が分かってきたら、立位や椅子に座っている状態でもドローインのエクササイズは行うことができます。
立ったままや座っている姿勢でドローインを行えるようになれば、普段の生活で思いついたときにエクササイズができ毎日続けやすくなりますよ。
ドローインを続けて引き締まった身体をキープしましょう。
立位でドローイン
立った状態で行うドローインの基本姿勢は以下のとおり。
足を腰幅程度に開いて立ち、胸を張って背すじを伸ばす。
肩甲骨を軽く内側に寄せるイメージで肩の力は抜く。
お腹の動きが分かるようにお腹に手を当ててもよい。
ドローインの流れは以下のとおり。
- 鼻から大きく息を吸ってお腹を膨らませる
- 口から息を吐きながら下腹部からお腹をへこませる
- お腹と背中をくっつけるイメージで息を吐き、お腹がへこんだ状態を数秒~30秒キープする。
- 薄くなったお腹をキープした状態で、自然な呼吸を続ける。
- ゆっくりと息を吸いながらお腹の筋肉を緩め、元の状態に戻す。
- 力を入れている部分をゆるめ脱力してお腹を元の状態に戻す。
呼吸をするときに前かがみや後ろに反ったりする姿勢のブレが気になる人は、背すじがまっすぐ保てるように壁や柱に背中をあててエクササイズを行いましょう。
電車待ちや横断歩道の信号待ちの間や家事の合間など、自宅や外出先問わずに隙間時間に立位のドローインはできますよ。
椅子に座ってドローイン
椅子に座って行うドローインの基本姿勢は以下のとおり。
椅子に浅めに座って両足を床につける。
背すじをまっすぐにして軽く胸を張る(前かがみや後ろに反らないように)
基本姿勢が整ったらドローインをしてみましょう。
- 鼻から大きく息を吸ってお腹を膨らませる。
- 口から息を吐きながら下腹部からお腹をへこませる。
- お腹と背中をくっつけるイメージで息を吐き、お腹がへこんだ状態を数秒~30秒キープする。
- 薄くなったお腹をキープした状態で、自然な呼吸を続ける。
- ゆっくりと息を吸いながらお腹の筋肉を緩め、元の状態に戻す。
デスクワークの合間や電車やバスで座っているときなど移動時間にも座ってのドローインができますよ。
ドローイン+骨盤底筋のエクササイズ
骨盤底筋を収縮させつつ、ドローインで腹横筋も動かすトレーニングを紹介します。骨盤底筋も腹横筋と同様に普段は意識しない筋肉ですが、姿勢を保つために重要なインナーマッスルです。
骨盤底筋が日常生活の中で働けるようになると、姿勢の改善と合わせて腹圧性尿失禁の予防が期待できます。ドローインと同様に、どの姿勢でも行うことができます。
- 鼻から大きく息を吸ってお腹を膨らませる。
- 口から息を吐きながら尿道・膣・肛門に柔らかく力を入れて締める。次に下腹部からお腹をへこませる。
- 尿道・膣・肛門やお腹を体の中心に寄せるイメージをしながら息を吐き、お腹がへこんだ状態を数秒~30秒キープする。
- 薄くなったお腹をキープした状態で自然な呼吸を続ける。
- ゆっくりと息を吸いながら尿道・膣・肛門を引き込んでいる力やお腹の筋肉を緩め、元の状態に戻す。
ドローインに関するQ&A(よくある質問)
Q:どのくらいの時間、ドローインを行うと良いですか?
ドローインは長時間行う必要はなく、1回のエクササイズは5分以内で行うことができます。
回数や秒数をご自分が行いやすい方法で行い、力を入れる感覚がつかめて来たら少しずつ秒数を長くしたりセット数を増やすなど調節をしましょう。
寝る前や起きてすぐなどのお布団に横になっている時、日常のすき間時間、他のトレーニングを行う前のウォームアップに取り入れるなど、自分がドローインをしやすいタイミングを見つけて日々続けていくことが大切です。
Q:いつするのが効果的ですか?
お腹に力を入れる感覚がつかめてきたらいつでも行えるエクササイズです。
ご自分がエクササイズを行いやすい時間があれば、ある程度決めた時間に行うとよいでしょう。食後すぐの30分間は消化のためにエネルギーを使うので避けたほうが良い時間帯です。
Q:効果が出るまでの期間はどれくらいですか?
早い方で3日前後から効果を感じる方がいらっしゃいます。ほとんどの方は2週間ほどエクササイズを繰り返していれば効果が出てきます。
Q:ドローインの頻度はどれくらいがいいですか?
できるだけ毎日行うことをおすすめします。毎日コツコツと続けることが大切なので、ご自分の生活時間の中で意識しやすいタイミングと回数で無理なく続けましょう。
始めのうちは時間帯を決めて行うと習慣化しやすいです。慣れてきたら普段の生活のすき間の時間や他のトレーニングを行う前などに取り入れると良いでしょう。
「やらなければいけない」と負担に感じる必要はありません。
Q:ドローインはどんな服装で行うとよいですか?
普段着で大丈夫です。トレーニングウェアは必要なく、服装に関わらず行えるのもドローインの嬉しいポイントです。
Q:ドローインだけで痩せますか?
ドローインを行うだけで痩せることは難しいです。ダイエットやボディメイクには、ドローインと合わせて他の筋トレや有酸素運動と食事管理が必要になります。
ドローインを行うことでインナーマッスルが働くようになるので、筋トレや有酸素運動の効果が上がることは期待できます。
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Q:腹式呼吸やブレーシングとドローインの違いはなんですか?
ドローインは腹横筋を効かせるエクササイズで息を吐くことで腹圧を高めます。腹式呼吸やブレーシングは息を大きく吸うことで横隔膜を動かし腹圧を高める呼吸トレーニングです。
目的は一緒で腹圧を高めることですが呼吸のタイミングが異なります。
まとめ(ドローインの正しいやり方と女性に嬉しい6つの効果)
この記事ではドローインの効果と運動習慣のない方でも手軽にできるやり方を解説しました。ドローインは場所を選ばず特別な道具も必要としません。
1日5分でも正しいドローインを継続すると姿勢も良くなり、基礎代謝も増えて健康的な体になっていきますよ。
家事のちょっとした合間や外出先でも信号待ちなどでもドローインはできるので、ぜひマスターして日常生活に取り入れてくださいね。
ドローインに慣れてきたら筋トレや有酸素運動をしてみるのもオススメです。筋トレをすると体力もつきますし、身体のラインも美しくなるので年代問わず始めてみてはいかがでしょうか。
>>ボディメイク初心者さん向け始め方の完全マニュアル